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友達に言われたことをブログのタイトルにしました。

ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル@帝国劇場

2023/7/21(金) 福岡空港を9時に出る便で東京へ向かう。羽田について京急成田行きに乗り、(羽田に着いたばっかりなのに成田行きに乗るなんて大丈夫なのかと若干不安になった)、三田で乗り換え日比谷駅へ。なぜか東京宝塚劇場に行くと勘違いしており、日比谷のいつも行列している中華料理店ティムホーワンに行ってみようかな、なんてことを考えていた。着いてから間違いに気づかなくてよかった。東京宝塚から帝劇はそう遠くはないが、炎天下を10分歩くのはしんどい。

 

東京メトロ日比谷駅に行き、地下街を通って帝国劇場へ。帝劇地下の飲食店街にタニタ食堂があったが行列していたので、テイクアウトのチキン南蛮弁当を購入。店員さんに許可を得て、店の前のベンチで食べた。野菜がたくさん入っていて美味しかったし、血糖値が急激には上がらなさそうなので安心。

 

食事を済ませて地下から帝国劇場へ入場。ロビーもムーラン・ルージュの世界観に合わせた赤いベルベットで統一された空間になっていて、否応なしに気分が高揚する。BGMもナイトクラブの雰囲気に合わせたものが使われていてよかった。

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開場後に客席に入ると、外の蒸し暑さをすっかり忘れてしまうような別世界が広がっていて思わず声が出た。海外公演と同じものを帝劇に再現した豪奢なセットに圧倒される。赤いライトで照らされた客席は隣が誰か分からないくらいに暗く、一気に夜の世界へと引き込まれた。

 

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13時から帝国劇場で、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」を見た。バズ・ラーマン監督の2001年の映画「ムーラン・ルージュ」を原作としたミュージカルで、アメリカのポップソングを場面に合わせて色んな形でマッシュアップして歌うのが特徴のジュークボックスミュージカル。2000年代のメガヒット曲を中心に、いろいろな楽曲が組み合わされているので、聞き覚えのあるメロディーが沢山出てきて楽しい。個々の楽曲に詳しい人なら更に楽しめるだろう。「ダイヤモンド」というキーワードを元に、マリリン・モンロー、マドンナ、ビヨンセ、リアーナの、その他もろもろの楽曲から抜き出してきて一曲になっていたりするので、権利がものすごくややこしそう。チケット代が高いのも納得してしまうところがある。

 

ナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」の花形スターで高級娼婦のサティーンは、クラブのオーナー・ジドラーから、経営難のクラブの為にモンロス侯爵を誘惑するよう指示されるが、サティーンは無名のシンガーソングライター・クリスチャンを侯爵と勘違いしてしまい、2人は恋に落ちる。誤解が解けた後、サティーンは侯爵の愛人となる為にクリスチャンを拒絶するのだが、若く恐れを知らないクリスチャンは、秘密の恋人同士になることをサティーンに提案するのだが……といった話。ベースが「椿姫」なのでラストは悲劇で終わる。

 

わたしはマッシュアップ楽曲がたくさん使われていたドラマ「Glee」をきっかけにミュージカルをちゃんと見始めたクチなので、MRも好きだろうなとは思っていたが予想以上に楽しかった。時系列的には、映画ムーラン・ルージュを受けて「Glee」がつくられたんだろうと思う。

 

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今日のキャストは、サティーンに望海風斗、クリスチャンに井上芳雄。推し同士が恋人役で共演するので、めちゃくちゃ楽しみにしていた。開演10分前からはプレ・ショーが始まる。19世紀末のフェティッシュな衣装を身につけたナイトクラブのキャスト達がゼンマイ仕掛けの人形のようにゆっくりと動きシルクハットの紳士達を誘惑する。女性キャスト2人が、剣を飲み込んで吐き出すマジックをやり、客席から拍手が湧いたのを切っ掛けに、上手からクリスチャンが姿を現す。彼が切っ掛けを出すと幕があがり、ナイトクラブのショーが始まる。劇場主のジドラーが現れ、「出来るカンカンカン!」と叫ぶとM1の出囃子にも使われている曲が始まって、ダンサーが勢揃いしてフレンチカンカンを披露してくれる。

 

クリスチャンと愉快な仲間達の出会いを描く回想シーンを挟んでジドラーが「我らの輝くダイヤモンド、サティーン」と口上を述べ、満を持して登場するのがサティーン役の望海風斗。正直、登場シーンの時点で涙目。あまりにも神々しかったし、最初のナンバーの途中に差し込まれるサティーンの病を示唆するパートの演技が上手すぎた。望海さんが退団してからの各公演で積み上げてきたものが、サティーンという役に集束していたので、このスケジュールを組んだ人にチップをはずみたくなった。

 

この調子で書いていたらいつまで経っても終わらないので端折るけれども、(思い出したら後々追記するつもり)望海さんも芳雄さんも役にぴったりハマっていた。すべてのシーンが美しく、おふたりの台詞としての歌を堪能することが出来た。特にサティーンの「Fireworks」と、「El Tango De Roxanne」からの「Crazy Rolling」がとんでもなかった。帝劇の0番で「我慢できない!」と叫ぶルドルフたち(クリスチャン役が2人ともエリザベートのルドルフ経験者なのだ)を見せてくれてありがとう。KREVA。(そのあと台詞で「僕を見て」とも言っているからこれは絶対に意図的なものだと思っている)

 

今作は、普段ミュージカルの訳詞をしている人ではなく、名だたるミュージシャン達が訳詞を担当しているのだけれども、使われているのがポップソングばかりなので正解だったように思う。パンフレットに訳詞が載っていないのはすごく勿体ない。

 

ティーンとクリスチャン以外の役者さんも、アンサンブルに至るまで歌もダンスもレベルの高い人しか出てこなくて作品にどっぷり浸ることが出来て有り難かった。特に、ナイトクラブの二番手スター(多分そう)ニニ役の藤森蓮華さんが、予備動作からしてキレまくったダンスを見せてくれて、オペラグラスを盗まれまくった。筋肉の付き方からして格好良すぎるし、ラテンダンスを踊るシーンなんかもう、ひれ伏したくなってしまった。この人の踊るところをもっと見てみたい。

 

良いものを見過ぎてボーッとした状態で、紙吹雪をひろったり舞台セットを撮ったりロビーの中をウロウロして回ったりしてから劇場の外へ出ると、まだ日が高くて驚いた。ともあれ夕方とあって暑さは少し和らいで気持ちの良い風が吹いていた。

 

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