点Pくらいよく動く

友達に言われたことをブログのタイトルにしました。

ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開@アーティゾン美術館

 9時の飛行機で福岡から羽田へ向かう予定だったが、機材変更かなにかで出発が遅延。11時前には羽田に着く予定だったのに、飛行機から降りられたのは12時だった。

 お腹がめちゃくちゃ減っていたので、気になっていたカレーうどんの店、CUUDに行った。グレーで統一されたカウンター席のみのスタイリッシュな店で、席がすべて厨房に向かう形で設計されており、劇場みたいだった。

 スパイスカレーうどんとトマトカレーうどんのハーフ&ハーフセットを選ぶ。和風だしと白ご飯、ピクルスが添えられていて、まずはうどんを食し、和風だしで味変、ご飯にかけてスープカレーとして、トッピングの温泉卵を加えて雑炊風でもどうぞという説明書きを手渡された。細麺のうどんに本格的なスパイスカレーが絡んでとても美味しかった。また行きたい。


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 夜に友だちとご飯を食べに行く以外は予定がないので、これからどうするか考える為に、(食後すぐは良くないと思いつつ)無重力マッサージチェアのお世話になる。遅延で腰が固まっていたのがちょっと楽に。第1ターミナルの日当たりがいいところに設置されていたので、室内なのにちょっと暑かった。

 推し俳優が好きな画家として名前を挙げていたウィレム・デクーニング作品が展示されているらしいので、アーティゾン美術館に行ってみることにした。一か月前と同じく、京急成田空港行きに乗って日本橋まで行く。地下鉄の駅に直結している高島屋に入ったら、天井や階段、エレベーターなどがすべて立派で驚いた。(あとで調べたら重要文化財だったらしい。納得) これはもしかして名建築で昼食を案件では。アーティゾン美術館の入場開始時間が迫っていたので写真を撮るのはそこそこにして店外へ。


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 真昼の太陽にじりじり焦がされつつ地上を行く。5分もかからない場所だというのに汗じっとりに。アーティゾン美術館に行くのははじめてだったけれども、外観からしてスタイリッシュだった。100円を入れなくていいタイプの無料ロッカーが沢山設置されていたり、人気声優・細谷佳正さんが語り手の音声ガイドが無料提供されていたりと、入場前から太っ腹さに驚いていたのだが、石橋財団の本気はここからだった。


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 14時過ぎに入場し、「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」展を見た。無料Wi-Fiに繋いでアーティゾン美術館のアプリをダウンロードし、Bluetoothイヤフォンで音声ガイドを聞きつつ観賞。入ってすぐの部屋に、マネの「オペラ座の仮面舞踏会」とゴッホの「モンマルトルの風車」が展示されていたので、ファントムとムーラン・ルージュに思いを馳せた。


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 抽象絵画のことを分かりたくて見に行ったのだけれども、直感的にかっこいいとか、これ好きだなというのはあっても、何を意図しているのかを読み解けるかといわれたらやはり難しかった。

 マティスの「コリウール」あたりはまだどこかの景色なんだろうなと予測がつくけれども、ウィレム・デ・クーニングの「リーグ」は、ぱっと見できれいな色で魅力的だなと思いはしたが、説明文を読むとさも当然かのように「女性像の連作の一つです」なんて書かれているもんだから頭の中が大混乱したりした。

 わたしは色彩と筆致に興味を惹かれる方なので、厚く油絵の具が塗られたものの一部を引っ掻く形で線が引かれているものや、砂を混ぜた絵の具が塗られたものを側面から見るのが楽しかった。抽象絵画を生で見ると、ちゃんと美術の素地がある人が意図を持って描くから成立していることが分かる。あんなもの、わたしには絶対に描けない。

 音声ガイドを逐一聞きながらじっくり見ていたのだが、点数がやたらと多く、序の口だというのに疲れてきた。休憩スペースを探したが、一階あたりにベンチが一箇所のみだったので、もうちょっと増やして欲しい。

 説明文を見ていてちょっと気になったのが、夫婦ともに画家という人たちの作品がちょこちょこ展示されていたことだ。説明文をざっと見た感じから、背景をちゃんと調べたら、才女の運命案件が紛れているのではなかろうかと考えてしまった。

 草間彌生の「infinity Nets No.A」は、ちょっと見ただけで鳥肌が止まらなくなってしまい、直視することが出来なかった。先日テート美術館展で見た作品(「去ってゆく冬」)は好きだったんだけれども。

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 一番好きだったのはザオ・ウーキーの「07.06.85」。色がとにかく綺麗で引き込まれた。この絵が家にあったら幸せだろうな。

 3フロアをじっくり見て回ったら、いつの間にか3時間が経っていた。首と背中がガチガチ。作品リストをよく見たら作品数が264点、音声ガイドは46トラックあった。疲れるわけだよ。(参考までに、この間見たマティス展は155点だった。)チケット代が1800円なので、ひと作品あたり6円しか取っていないことになる。ポストカードも1枚110円と大変にお手頃。石橋財団の本気を見た。

 美術館を出たのが17時。日本橋高島屋まで戻って、階段や天井、そこここの意匠を写真に撮ってまわる。どういう形式かなどはよく分からないが、どこもかしこも格好良い。エレベーターで地下まで降りると、エレべーター自体が貴重な物だからか、エレベーターボーイが乗っていた。細長い真鍮の部品が連なった内ドアがレトロで見るだけでテンションが上がった。