点Pくらいよく動く

友達に言われたことをブログのタイトルにしました。

ムーラン・ルージュ!ザミュージカル@帝国劇場

2023/7/22(土)

 8時頃起きる。空調が効きすぎていたこともあって体がガチガチで疲れを感じたので、大浴場に行って湯船に浸かってストレッチをする。それでもまだ眠気が残っていたので、30分くらい目を閉じてシンギング・ボウルの音を聞きつつ瞑想的なことをしたらかなりマシになった。マメクロの透け感のある服を着て11時半ごろ宿を出た。凄い坂を登ってチケットを発券し、宿の近くにあった居酒屋で肉豆腐定食を食べてから、メトロで帝国劇場へ。

 

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 12時半から、ムーラン・ルージュ!・ザ・ミュージカルを見た。昨日は2階の全体が見渡せるかなりいい席だったが、マチネは補助席だったので見え方がどうか不安だったけれども、1階S席の一番後ろ、A席の前と言う見やすい場所だったのでラッキーだった。

 マチネのサティーンとクリスチャンは昨日と同じく望海風斗と井上芳雄。ジドラーは橋本さとし、公爵役が伊礼彼方という見たかった人だらけの回だった。

 昨日に引き続き素敵なプレショーを経て怒濤の本編に突入し、のめり込むように見ていたら、サティーンの「fireworks」が終わった辺りで、望海さんが下手の袖にスッとはけていった。昨日見たときには、幕が上がってサティーンの部屋に場面が代わってYour songが始まっていたのでおや?と思っていたら、舞台機構に不具合があったので、点検の為に一時中断していますというアナウンスが流れた。

 観劇した人のレポで、以前にもこういうことがあったという話は聞いていたが、自分が観劇している日に起こるとは思っていなかったので驚く。でもまあ心配しても仕方が無いので、そこまでに出てきた歌の訳詞をスマホにポチポチ書き出していたら、15分くらいで再開しますとアナウンスが流れ、客席からは自然に拍手が起こった。

 クリスチャンがはじめてサティーンの部屋を訪れるシーンから再開。芳雄さんが「時間かかっちゃってごめん!ちょっと迷っちゃって」みたいなアドリブを入れて笑いを取っていた。さすがの舞台度胸。そこからは大きなトラブルもなく、いい観劇体験となった。

 伊礼彼方の公爵は、ほぼ「らんまん」と同じ役どころ(自分の愛人になるひとには恥ずかしくない暮らしをしてもらわなければみたいなこと言って振られる)だったのでちょっと笑ってしまった。

 サティーンが公爵好みの服を着せられるシーンで、望海さんの帽子が頭から外れてしまって、望海さんはそれを何事もなかったように掴み、伊礼さんがその帽子をエスコートがてら受け取っていたのがスマートで良かった。

 橋本さとしのジドラーはもう、彼のための役ではないのかといった感じで愛嬌が爆発していて見ていてすごく楽しかった。カーテンコールでは「三幕ものの舞台、(中断を挟んだので)お楽しみいただけましたか?」と言って笑いを取っていたし、舞台裏から「さとしー!」という熱いコールも飛んでいた。愛され支配人。舞台人のトラブル対処能力を目撃すると、つい嬉しくなってしまうけれども、本当はないにこしたことはないんだよな。

 二回目なので、好きなシーンなども出てくる。サティーンとクリスチャンの出てくるシーンはどれも好きなのだけれども、上川一哉演じるロートレックと、望海風斗演じるサティーンのラスト近くのシーンがすごく好きだった。ロートレックは、彼の脚本を破壊しようとする公爵と対立するシーンで「(誰もが平等であるので)わたしは誰にも頭を下げない」と吐き捨てる。その彼が、脱帽して頭を垂れ「僕のミューズ」と言い、サティーンは「私の天才」と返す。美しい場面だった。ミュージカル版では、サティーンは13才の頃から親に売春を強要されており、ロートレックはその頃から彼女と知り合いという設定が付されているのでソウルメイトっぽさも強調されていてすごく良かった。上川さんを初めて見たけれども好きな演技をする方だったので、別作品でも見てみたい。

 

 昨日も撮ったのにまた客席内で写真をバシャバシャ撮ってしまう。地下飲食街に降りたが、オフィス街だからか開いている店が殆ど無く、丸亀製麺でおろしぶっかけうどんを食べた。わたしの他にもMRをマチソワするであろうご婦人方がいらしたので、感想が気になって耳ダンボになってしまう。ほとんどの場合ひとりで観劇をしているので、生の感想に飢えているのだ。 


 17時ちょうどにさっきぶりの帝国劇場に戻る。18時からまたムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカルを見た。

 

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 ソワレは、サティーン役が平原綾香、クリスチャン役が甲斐翔真。望海&井上コンビとは全く違うサティスチャンで凄く面白かった。

 望海風斗と平原綾香は資質がまったく違っているのに、どちらも素敵なサティーンなのでこれぞWキャストの楽しみだなあと思った。2人とも歌がとんでもなく上手なのは一緒なのだけれども、望海さんは芝居と歌がシームレスに繋がっている演技重視のアプローチ、平原綾香はミュージシャンらしく、曲を聞かせることに重点をおいているように見えた。(ブロードウェイ版のオリジナルキャストの歌い方に似ているのは平原綾香の方だった)

 平原綾香を生で見るのははじめてだったのだけれども、とにかく歌がパワフルで圧倒された。登場シーンでの「ティファニーカルティエ!」のとこらへんとか、腕からビーム出せるんじゃないのかこの人というくらいの迫力があった。

 サティーンが「Shut up and dance with me」とクリスチャンに言うシーン、望海さんは元男役らしく壁ドンしそうな格好良さだったのだが、平原綾香は蕩けるみたいなウィスパーボイスで微笑んで悩殺!という感じだったので、Wキャスト面白!と思った。

 甲斐くんはちょうどクリスチャンと同じくらいの年頃なので、若者の危うさと年上の女性に溺れていく過程がすごく自然だった。同じくクリスチャン役の芳雄さんとはほぼ20才年の差があり、甲斐くんの方がより強くサティーンとのハッピーエンドを信じている感じが出ていて、怖さすらあった。

 芳雄クリスチャンは割と最初の方から公爵にピリついているのだけれども、甲斐クリスチャンは2幕の冒頭でもまだニコニコして状況が分かっていない感じがあった。それがアブサンに溺れた後の闇落ち具合を際立たせていてすごく良かった。

 メインに推しがいなかったこともあってオペラグラスで細部を追っていたのだけれども、藤森蓮華ニニが今日も格好良かった。リハーサルで踊るシーンの、気合を入れる予備動作からしてキビキビしていて大好き。アラビア、ショコラ、ニニ、ベイビードールの4人はどのキャストさんも素敵だった。

 ソワレは前から6列目の風車真下の席だったのだけれども、サイド席からは舞台のセンターがかなり見切れてしまった。オペラで追うと首が痛くなってしまう感じもあってちょっと困った。サイド席はA席にして欲しいところである。

 ソワレは平原綾香ファンが多かったのか、幕間で男子トイレに行列が出来ていた。後ろの席の人が2幕頭くらいから健やかな寝息を立てていて、こんな面白い演目で、チケット代もすごいのに寝る人は寝るんだな……と思った。3回の観劇でプリンシパルはみんな拝見したので、満足するかと思ったら、別の組み合わせでも見たくなってしまった。具体的に言うと望海サティーンと甲斐クリスチャンが見たい。やべー沼だここ!