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宝塚宙組公演 エクスカリバー@ライビュ

2023年7月29日(土)

 15時半からTOHOシネマで、宝塚宙組公演「エクスカリバー」を見た。宙組9代目トップスター芹香斗亜さんのプレお披露目公演。ミュージカル「エクスカリバー」は、「笑う男」などを手がけている韓国の会社が制作した大作。作曲家はフランク・ワイルドホーンその他のスタッフも超豪華で、本国で一番売れたミュージカル作品らしい。

https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2023/xcalibur/index.html

 アーサー王伝説についてはうっすらとしか知らないので、定番の設定からアレンジされているところも多々ありそうな印象を受けた。あらすじはこんな感じ。

 

6世紀の英国、暗黒の時代。英国王ウーサー・ペンドラゴン亡き後、サクソン族が王を失った英国を植民地にするため残虐な戦争を起こす中、ドルイド教の魔法使いであり預言者のマーリンは、混沌の時代に終止符を打つことができる新しい王、アーサーを王座に就かせるために長年の計画を実行に移す。自分が王族であることを知らずに平凡に成長したアーサーは、マーリンから自分の運命を知らされ、石に刺さっていた聖剣エクスカリバーを引き抜いて、英国の新しい王として崇められる。最も信頼できる親友であり、優れた実力を持っている騎士ランスロットらとともに、キャメロン城を築き、サクソン族との偉大な戦いに挑むアーサーは、勇敢で聡明な女性グィネヴィアと出会い、恋に落ちるが・・・。


 芹香斗亜さん演じるアーサーは、王の血を引いていることを知らないまま養父のエクターに大事に育てられ村のみんなに愛される青年へと成長していたが、いきなり現れた予言者マーリンに、エクスカリバーを抜いて王になれと言われて戸惑う。サクソンの襲撃が身近に迫っていることが判明し、仲間達とブリテンを侵略から守るために王となるのだが、戴冠&結婚(交際0日婚)したその日に養父を殺され動揺したところに、義姉から黒魔術をかけられて暴君と成りはてる。兄貴分に妻を寝取られたり悩みは尽きないけれども、王様って本来孤独なものだからこれからも頑張るね!みたいなオチで終わった。(展開が早すぎて1回だけでは感情が追いつかなかったことを察して欲しい)

 ファンとしては、愛されて育ったサンリオのキキちゃんみたいに可愛い芹香さんと、2番手時代に磨き抜かれたハイライトなしの目をした悪い顔の芹香さんを同時に見られる上に、ボロボロになってから這い上がるところを堪能できるという有り難すぎる演目だった。

 桜木みなとさん(2番手・年次は芹香さんの2つ下)演じる兄貴分のランスロットとアーサーの関係も見ていて微笑ましかったし、ヒロインの春乃さくらさんも、たまたま王の妻になった戦士であるところのグィネヴィアという役を格好良く演じていた。

 韓国ミュージカルをいくつか見て感じるのは、血縁関係に関する話が多いなということ。特に、女性キャラの設定がキツい印象が強い。エクスカリバーでは、アーサーの異母姉モーガンの設定がすごかった。

 モーガンの父ウーサーは、レイプした女に生ませた男児(アーサー)をマーリンに隠され、怒りの矛先を幼い娘モーガンへと向ける。彼女は激しい虐待を受けたのち修道院に長年幽閉されていたが、サクソンの襲撃によって介抱され、幼いころ自分に黒魔術を教えてくれたマーリンを探し出すことに命を賭けるようになる。自分を置いて姿を消したマーリンが、異母弟アーサーを擁立しようとしていることを知ったモーガンは、アーサーに激しい嫉妬を覚え、彼を亡き者としてマーリンを手に入れることを目論む。とまあ不幸てんこもりの実質準主役である。演じているのは男役スターの真白悠希さん。入団からまだ6年という若手スターなのだけれども、高音も全く苦にしない安定した歌声と迫力のある演技で大役をモノにしていた。

 サクソンの親玉、ウルフスタンを演じる専科の悠真倫さんは恰幅が良くて迫力があり、見入ってしまった。(どちらかといえば敵方のメロディが好きだった)マーリン演じる若翔りつさんの歌唱も見事。

 歌の上手な人ばかり揃っているのにも関わらず、ひとり当たりのソロ曲数が多いのと1曲1曲が長いので、皆様ちょっと歌声がお疲れ気味であるように見えた。円卓の騎士も名前は出てくるけれども個々の見せ場は少なかったので、若手を育てる演目としてはちょっとなという感じ。それでも、プレお披露目で難曲揃いの演目を短期間でここまで仕上げてくるのだから、これからの宙組を見るのが更に楽しみになった。